この木造建築は、築百数十年の伝統的木造建築で、町屋としてあった住宅を耐震補強も兼ねて店舗として改修した事例である。
写真の通り、二方向の大開口がありそのため耐震補強においては、内部に耐力要素を配置し偏芯による影響を考慮した計画とした。
現状の二階外壁部分と屋根は改修しないで、内部の補強で完成させた。
一階の店舗内における雰囲気はなるべく昔のままで、壁の補強と基礎の補強を行い、仕上げによって現代と古い部分の共存を可能とした。
一階の店舗内には既存の古い柱(黒い色の柱)と新しい床材と壁およびテーブルのコントラストが面白い雰囲気である。
この二階店舗部分では、既設の天井を取り除き丸太の小屋組みを表しとした。
この小屋組み内における耐震補強要素も補強金物も見え、耐震補強工事を行ったことがわかるようにした。
この写真の左側にある格子状の壁は、耐震性能を持つ「面格子耐力壁」であり、木構造建築研究所田原がいつも採用しているものである。
また、この二階床部分は二階南面の外壁まで繋がって無く、水平構面の脆弱的な要素となるので、一部吹き抜けのある二階床部分に水平面格子を採用した。
この二階南面の吹き抜けは、耐震構造上大きな弱点となるが意匠上必要とされ、開口とした。
その補強の意味を込めて、この吹き抜けの両サイドに水平面格子を設置し、吹き抜けの雰囲気を損なわないように耐震補強を行った。