本建物は甲山自然の家の付属施設として、自然環境や自然体験、環境学習活動に関する情報提供を行なうことを目的としたものである。
現在の施設は鉄筋コンクリート造の2階建てで、自然材料で出来た見本となる施設が必要とされ、建設されたものであるが、写真でわかるとおり、建物形状が正12角形を半分にしたようなファサードとなっており、木造軸組構法における住宅規模の建物であるが、基本的には水平力を軸方向による抵抗要素で処理する耐震要素を構成したものである。
小屋組みののぼり梁は、軒部分から建物中央部に向かって集まり、上部の桁梁へ渡りあごとしており、やや複雑な形状と言える屋根形状は、塔屋型となっており、この屋根面を鉛直抵抗要素と一体挙動させる工夫が必要である。
塔屋部分と丸太柱の取り合いは、塔屋と大屋根部分が一体挙動となるように、丸太柱の柱頭部分と塔屋の柱脚部分とを、特殊な両引きDボルト(兵庫県三木市 ヨネザワ製)を使用して緊結している。
本建物における主な耐力要素としては、ファサードとなる前面には筋かいと貫の併用した「貫筋かい耐力壁」(写真)と、建物奥側の外壁は構造用合板と石膏ボードを併用した面材による耐力壁としている。
なお、このV字型筋かいにより建築基準法の角筋かいよりも、壁倍率を低減し安全率低減した設計としており、許容応力度計算で性能確認し、品確法の耐震等級2以上を確保したものである。
偏心率の検討においても、構造計算上でX,Y軸にベクトル分割検討し、さらに安全率を見込んで設計している。