構造: | 鉄筋コンクリート造+木構造による混構造 |
規模: | 建築面積 約340m2 軒高約4.2m 最高高さ約5.0m |
構造材及び仕上げ材: | 兵庫県産材(杉・桧)を使用 |
木構造の概要を説明すると、木材の特性を活かした自然外力(地震・風・積雪)に抵抗する形態とするため、本施設においては集成材等による大断面を利用しないで、県産材による通常サイズの断面を利用し、最も効率よく応力を処理する形態の一つとして「軸力抵抗型」を採用したものである。
また、小屋梁の梁間方向では、杉板を湾曲しビス・ボルト等による接合で積層した合成梁で、桁行き方向は米松材(1.5寸角)で構成された面格子による合成梁。
さらに、許容応力度設計によりCo=0.30以上の安全を確保している。(実質は風圧により決定)
大屋根のメインフレームとなるアーチ合成梁は、写真の通り接着剤を全く使用せず、杉板を1枚ずつ湾曲の上、積層させてビス止め及びボルト等で締め合わせ、合成梁を製作。
この建物は、屋根形状が「かまぼこ状」であり、さらにR型状に曲がっている。
そのため、各フレームが一様でなく、全てちょっとずつ寸法や角度が変わっているので、取り合いが非常に複雑で、ちょっとの狂いが大きな誤差へつながってしまう。
このような精度を要求される仕事を、いとも簡単にやってのける大工棟梁が、まだまだ各地に存在している事を実感し、地方の大工でも名棟梁と呼ぶべき人たちと一緒に仕事が出来、木造の良さを実感させてくれ、人と人との協同により良いものが出来る一例と言える。
この木造施設は、「野添であい公園」の景観とアプローチ等を考慮した意匠設計で、優れたデザインセンスを持つ建築家の力量と思われる。
この木造の小屋組み架構は、意匠と構造が非常にうまくコラボレーションした一例であると言える。