No.18 たすきの家 新築工事

2001年 8月
2階建て新築
意匠設計マニエラ建築設計事務所
構造設計木構造建築研究所 田原(担当: 村田)
施工者 朝陽工務店

震度7の地域での倒壊住宅跡地に建てる木造住宅

本建物は狭小間口住宅(間口2間、奥行き5.5間)の為、耐力壁には構造用合板と、貫を利用した貫筋かいをバランスよく配置し、Co=0.30以上の性能を有する事を目標とした住宅。



 

本建物では木材の加工を全て手刻みで行い、施工業者である朝陽工務店の加工場にて、木材の刻み検査を行なったところ、テレホンカードで鋸が入りすぎていないか検査したところ、加工が正確に行われていたので隙間のないことを確認した。

また、継手の仮組みをした際も隙間のない精度の加工であった。(棟梁を見る)

プレカットが主流となってしまった現在では、大工の加工技術も衰退傾向にあるが、ここにはそのような傾向が見られなかった。



 

建て方時の様子。

狭小間口住宅である為道路に面した間口には角筋かいたすき掛け(壁倍率5.0倍)を設けて、全面ガラス貼りのファサードとなっている。ここでの仕口は見え掛りになるということと角筋かいの性能を十分に発揮することを考慮し、貫+ボルト締めによるシステムとした。



 

本建物の2階床では吹き抜け及び階段室があり、ブリッジとなるその周辺の床の剛性が非常に弱い。

そのため、吹き抜けの一部には、光と風を通す構造デザイン及び水平構面の重要な耐力補強を兼ねた「水平面格子」を設け、剛性を高めてある。




本建物は遠くない過去にあのような被害があった後で、これから安全に暮らす為の家であり、構造的安全性を非常に重視された設計となっている。


 ©Tahara Architect & Associates, 2003