この建物は、約100年前の木造3階建てであり、この老朽化した建物を街づくりの拠点とすべく、欠陥住宅を専門とする山本弁護士が借り受け、改築相談にあたり、町並み保存の活動をしている建築家である横田さんに持ちかけられ、そこから「どうせ改修するのであれば、地震のことを考えて耐震補強も同時に行なえば」との提案があり、当事務所が参画することとなったものである。
そこで、この建物を耐震調査及び診断した結果、「震度6強で倒壊の可能性あり」となり、耐震補強する上で、構造設計者より数点の提案をした。
その一つに、布石基礎で地震時に建物が転倒しようとするのを支えられそうにないので、RC基礎新設し、足回りを固めることを提案した。
その上で、耐力壁を構造用合板で補強し、当時の建築基準法による3階建ての必要壁量を1.25倍以上確保した。
床・屋根面も構造用合板又は鉄筋ブレースにて補強を行い、建物全体が一体となるようにし、3階の土壁を除去して構造用合板を使用し、軽量化を図った。
予算の制約があり、内部に比べて、外観のリニューアルは最小限度に留まっている。