この構造は地下1階がWRC造で、1階、2階が木造軸組工法の「混構造」であるが内部は実質セットバックで5層となっている住宅である。
外形は ≒6m×≒7mの長方形が∠40°回転した平面形状に一部突出した狭小スペースがあり、不整形な平面形状となっており、構造計算上特別な配慮が必要となっている。
地階は前面道路側が駐車場部分で全面開口となっており、偏心率の為にバランスの良い壁配置を考慮し、壁量が少ない南側と西側は壁厚を大きくした。
立面的には、前面道路側の駐車場部分を除き土圧が作用している。
また1階ルーフテラス下部は3方向が片持ち床となっている。
その一部を支持する片持ち梁の出=2.0mとなる為、地震時を考慮した検討を行った。
各室がスキップフロアで構成されており、異型な平面形状なのが写真でもわかる。
居間から食堂を見ると吹抜けが大きく、水平構面の2階床=ブリッジ的応力伝達経路にした床システムとした。
食堂にも一部吹抜けが有り、全体的な吹抜け箇所は3箇所となっている。
食堂から庭を見る南面はほとんどオープンな開放的空間となっている。
階段は鉄骨階段とし、階段室も吹抜けとなっている。
この階段もササラ桁はFBで構成し、階段としての機能の安全性を担保する為のシステムを構造的に目立たないように工夫している。
1階の南面は非常に解放的な空間としているが、この様な開放的な平面計画も構造的な工夫により、耐震性能は最高等級を確保している。
複雑な構造ほど空間の面白さは有るが、そのぶん十分な安全性能も必要となる。