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11月18日に公表された構造計算書の偽造について(その2)


この問題は、非常に奥の深い問題だと思いそこで、なぜ防げなかったか?

推理してみた。

1 ソフトの偽造防止の対策不足       設計時

2 発注者(意匠関係)の構造能力不足    納品時

3 民間の利益優先の審査時間と能力不足   確認時

4 基礎、上部躯体工事時の検査能力不足   中間時

この様に、複数の要素が関係した場合構造設計者の意図的な偽造行為に対し、チェック機構がいくら有っても無意味となる。

市販ソフトを利用している事で、利用者に責任がある事にはかわり無いがバグ等の第三者 的要素は別としても、アウトプット結果を判断できず、「にらみ」も持たない輩的構造屋が増えているのが現状であると思う。

しかし、根本にある「構造技術者としての倫理」がなければどんなチェックシステムであれ、いつかは無力となる場合がある。

この重要な点を、建築教育と建築士の試験には是非採り入れて実務につく前には、インターンで2〜3年は研修を受け人物評価等があって初めて受験資格が得られるようにすべきであると思う。

医師や機械設計では手術等をしたり、機械が動き出したらたちどころに死亡したり、欠陥がだちどころに露呈する場合があるが、木造住宅等は大地震が起きなければなかなか 解らない。

本来ならば、この様な事件は殺人未遂罪に問われてもおかしくないものだが、もしこれが建築基準法違反や建築司法による資格剥奪処分だけで刑事罰が科せられないのであれば、一体、誰がこの様な問題が起きた時、責任があると言えるのであろうか?

もしこれで人が死んでいた場合においても、殺人罪は問われなく業務上過失致死だけで終わるのであれば、どこかこの国の法律は間違っていると言わざるを得ない。

これからこの業界に就職される方や、建築設計を依頼されようとする人は「他山の石」と思わず、今からでも真剣に考えてみてほしい。


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©Tahara Architect & Associates, 2005