戻る

建築とは、人の命を守ものでは?(その1)



私の尊敬する人で、機械設計を専業とするエンジニアが居られます。

その方のホームページには、下記のようなことが述べられてありました。


「今年の1月、セスナ飛行機が町中に落ちたそうです。幸い対人被害者はでなかったようですが、パイロットと同乗者は亡くなったとのこと、パイロットの関係者の心中察しご冥福をお祈りいたします。

墜落したパイロットの経験が、2000時間というベテランとのことです。

エエッ! 20000時間の誤りでは無いかと思いました。

飛行業界のことは知りませんが、機械設計では経験が2000時間では若葉マークで、人命に関わる機械設計の仕事は、なかなか担当させてもらえないと思うのですが。

墜落すると人命に関わる被害の大きい地域では、10000時間以上で無いと飛行禁止とか、飛行コースの制限とか、10000時間以上の超ベテランを同乗させる、等の制限をすべきでは無いかと思います。

機械設計では同様に、人命にかかわる設計では(300hX12mX10y=)36000時間は最低必要と思っています。

それ以下の方で、機械設計において人命に関わる仕事をするときは、先輩技術者に指導を仰ぎ、チェックを受けながら設計をされることを希望します。」


との事が書かれています。

これは、まさに木造住宅の設計者にいえることで、上記のような人命に関わる設計をしていることを理解できていないような設計者がいるのも事実である。

つまり、建築学科を卒業し、実務経験2年から3年で建築士の資格を取得し、すぐに木造住宅の設計をしようと思い実行するような建築士が存在する。

このことは、非常に危険な行為であるが、資格さえ取れれば何の問題もなく設計が出来るのであり、その設計に問題点があれば、建築確認申請において行政、または民間の確認機関が間違っている等の指摘をしてくれるのであり、その指摘さえクリアできれば、後は施工者に任せてしまえば出来上がるのである。

何度も言うことだが、大学教育の中で建築学を習っている学生は、ほとんどと言っていいほど木構造を習ってなく、社会に出て実務について初めて木造住宅を本格的にやるのであり、このような初心者とも言える設計者が、先輩等のあいまいなアドバイスを受けながら行っているのが現状である。


戻る

 ©Tahara Architect & Associates, 2004