大地震等の災害により倒壊、全半壊した住宅の再建を公的に支援する制度として、全国の都道府県知事会がその制度を「被災者生活再建支援法」の改正として閣議決定することが決まった。
この「居住安定支援制度」について、鳥取県の片山県知事が一人異議を訴えているが、その詳しい内容についてあまり知られていないと思うのでここで説明したいと思う。
この制度は、住宅が災害に遭い再利用出来なくなり、解体撤去するための費用から新たに住宅を建てるための整地費用、また残っている住宅ローン等に利用できる、という利用方法に基づいて出来ており、その対象となる住宅で最大300万円(生活再建支援金100万円+本制度最高200万円)まで支援が受けられるという制度である。
しかし、ここで注意すべき点は、そのための資金として、各都道府県において、昨年生活再建基金として総額300億円出資することが決まっている上に、今回のこの制度を遂行するため、来年度予算でさらに300億円出資するということである。
これは、鳥取県という日本でも人口および産業のもっとも少ない県においては、かなりの負担であり、大都市圏の東京や愛知県・大阪府等と違い、財政が苦しく、予算が小さな県は、例え1億であろうと苦しいのである。
また、それが倒壊した家屋の再建のための資金とすれば、1戸当たり300万円はいかにも小額で、新築をしようと思えば、少なくとも1000万円以上の資金が必要であり、無いよりかはましであるが、新築した住宅が個人の財産なので、このような事になったのであると思われるが、もし大都市が大地震等により災害を受けた場合は、600億円程度の資金では、あっという間に破綻することが判りきっているはずなのに・・・
税収が豊かであった高度経済成長時代では可能なことだと思われるが、平成の大不況の中で税収も落ち込んだ今となっては、どこの自治体も苦しい。
さらに、この資金が住宅が倒壊する事を前提とした資金であり、そのためのお金とは真にけったいな制度と思う。
もし、その600億円を利用して耐震診断および耐震補強を行うことが出来れば、1戸当たり耐震診断・耐震補強に100万円程度かける事が出来れば6万戸の住宅が救われることとなり、その方がよっぽど世の中の役に立つことにつながるのだが、もっと地方分権を進めてもらい、知事の判断により個人への救いの手を差し伸べることも必要なことだと思う。
その方が、個人のことだからといって放って置いて、大災害が発生した後の対策のほうが、事前対策より数十倍数百倍もかかることを、国や法律学者等の関係者はなぜ理解しないのだろうか・・・