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「阪神・淡路大震災」後 9年目(その1)



また1月17日が近づいて、「阪神・淡路大震災」関連の記事が新聞紙上等をにぎわせているが、そこでいつも思うことだが、本当にきちんとした事を述べている人が非常に少ない。

つまり、「住宅等の耐震補強が必要だ」とか「地震発生後の救助活動や緊急医療が大事だ」または「少なくとも「阪神・淡路大震災」のときのように、少なくとも10万戸以上の仮設住宅が必要だ」などと暢気な事を言っておられる方が多い。

一番大事なことはこれから発生するであろう大地震に備え、危険と思われる住宅や建築物に対し、{1}精度の高い耐震調査とそのデータから、{2}的確な耐震精密診断を行い、その住宅や建物に対し、{3}最小限の費用で最大の効果のある耐震補強を行うことである。

しかし、現時点での公的な機関から出されている技術規準書等では、{1}から{3}まで本当の意味できちんと整備されていないのが現状である。

※この問題については、今年の4月以降に耐震診断法・耐震補強法が大幅な改正で、本当の意味での安全を担保できる方法になって、マニュアル等が出版される予定である。

だから、今までやってきた耐震診断等では、まだまだ不十分なところが多くあり、上記の改訂版が出版され、その内容を熟知した木構造の専門家に依頼することが、本当の意味での最善の策といえる。

それでは、「今までの耐震診断がだめだったのか?」と言われた場合、真実はその通りであるが、建築基準法も今まで色々な面で改正があって、現在に至ったのであるように、歴史的にみて、完全なものはなく、問題点がわかった段階で変えていくという方法しか取れないのが現状である。

また、耐震という言葉もおかしなもので、地震が起きても安全に耐えてくれるという想像を起こすような言葉だが、実際は想定以上の地震動があれば、大破するし、場合によっては倒壊もするのである。

国が定めている建築基準法においても、想定する地震動は、地表面の加速度にして400gal程度であり、それの1.25倍とか1.5倍の安全性能がありますよと言ったところで、2倍以上の地震動があった場合、法律通りの性能を確保した住宅でも倒壊するものもある。

このように、耐震診断や耐震補強をすれば安全であるということではなく、少なくとも国が定める地震動の範囲内においては、倒壊はしないが、大破〜軽微な被害までの範囲で納まるようにするものであり、基本的には「大地震による減災法」と呼んだほうが正確であると思われる。

もしこのホームページをご覧の方があれば、マスコミ等に「このようなコラムもあるよ」と知らせて、地震学者や防災学者等のコメントも良いが、少し違う視点から見たコメントも、注意を促す意味では良いと思うのだが・・・・


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003