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12月16日に発表された東南海・南海地震について(1)



12月16日、東南・東南海地震において、津波対策や社会基盤等における防災計画が取られることが発表され、木造住宅では耐震診断を促すための色々な対策が取られるようである。

マスコミ等においてもこのことについて大々的に報道しており、拡大された防災対策地域内での倒壊家屋数や死者数を、倒壊数64万棟、死者数2万4千人と予想しており、以前のコラムでも述べたとおり、これではただ不安をあおっているにすぎない。

この木造住宅の耐震診断・補強等において、今までは極わずかな自治体のみが耐震診断・耐震補強等に対し、補助金を出していたが、これからはかなり多くの自治体が今回の発表によりなんらかの補助金体制を取るものと思われ、それにつられて多くの人が今がチャンスと思ってかなりの人が行動を取ると思うが、もう少し(約半年)待ってから行動を取った方が、その差(耐震診断・補強技術規準)はかなり大きくなり、現時点では時期焦燥と言える。(詳しいことは次回に述べる)

このような防災対策に国の予算がつぎ込まれるとすぐ出てくるのが、適当に講習を受けた施工者(木造建築業以外の他種業者)の企業や耐震診断講習会でほとんどが眠っていて単に講習会を聞いただけの建築士(設計専業)等が適当な耐震診断をし、木造住宅の耐震構造における技術力がないまま調査をし、あいまいな診断結果から自身の技術力に不安があるためかなり安全側に見て、すぐに危険と判定してしまう恐れがある。

逆に安全と判断して被害が出ると訴えられる可能性を恐れて、無駄に危険側に診断してしまう恐れがある。(これは建築不況の中で、仕事取り的な行為をする輩が急増するため)

これは耐震診断の技術をわずか1日、それも実質6時間程度の講習で、聞いた振りをして眠っていても講習終了者と認定している点にある。

特に、建築士の中でも構造専門の建築士は建築士全体の中で約5%程度であり、その構造専門の建築士の中で木構造を専門とする建築士は1%にも満たない数で、全体で数十人から多く見積もっても数百人までであり、その他の数十万人の建築士の中で、本当に実務に即応できる建築士は非常に少ないといえる。

世の中を良くしていこうと考えるのであれば、その数百人の木構造を専門とする建築士(木構造技術者)に対し、要望のあるすべての住宅について、耐震診断・耐震補強設計等を行えば、一週間に2〜3棟の割合で業務を行えば一人当たり年間100〜150棟が安全となり、全体で数万から十万棟程度の木造住宅が対応できるのである。

いくら補助金がついたといえ、耐震診断・補強等に対し一年間に100万戸以上の申し込みがあるわけでなく、危機感を持っている家や少し余裕のある家に限られ、できるところから行っていけば数年のうちに100万棟は達成できると思われる。

これはなにも木構造技術者の独占業務としての要望でなく、本当に安全を担保するための技術能力に同じ建築士でありながら、著しい差があるのが現実であるため、あえて人の命を守り、財産を守るためにベストと思える案を述べるものであり、他を批判するものでもないことを一言付け加えておく。

今、不況により就職難である。

その打開策として建築学を専攻とする学生に耐震診断等の技術を教え、その学生のうち、ある一定水準以上の学生にボランティア活動として耐震診断・補強等の活動を行ってもらい、それを習得単位に認めるようにすれば、社会的な意義は大きいものと思われ、当事務所では近いうちにこのような事を取り組む予定をしている。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003