木で造るラーメン構造とは一体どのようなものであるかを考えた場合、周りに生えている木を見るのが一番わかりやすいであろう。
その木からは必ず枝が生えている。
その枝が幹に取り付いている部分を、剛接合といっても良いのである。
では、他に人工的に現在の最新の技術を用いて枝が取り付いている部分のような剛接合ができるかというと、それはなり難しいと言える。
現在集成材でラーメン構造が構築されているが、軸部材と接合部の強度比は、どんなにがんばってみても今のところ1:0.5程度にするのが精一杯であり、S造やRC造のような部材にヒンジを発生させ、接合部破壊を発生させない考え方が、木造ではできないのである。
つまり、木造のラーメン構造においては、接合部の破壊によりエネルギーを吸収し、水平力に抵抗するという考え方が、今のところ一番確実な木造ラーメン構造システムであるといえる。
では、伝統工法による、木と木を組み合わせることによる軸部材と接合部(腰掛鎌継ぎ・金輪継ぎ・追っ掛け大栓継ぎ等)の強度比はどの程度なのかというと、学会等の論文を見た場合だいたい1:0.2程度であり、伝統構法のラーメン構造としての接合部効率は、かなり悪いと言える。