構造設計とは、構造計算をすることにあると思っている建築関係者がいまだに多く、一般の人では「建築設計=建築デザイン」と思い込んでいる人が多い。
一部を除いてではあるが、構造設計と構造計算との違いを明確に説明している構造技術者が非常に少ないことが、このような誤解が生じるの原因のひとつではないかと思われる。
まず、構造設計とはそのほとんどが構造計画をすることにあるのだが、建築学教育では鉄骨や鉄筋コンクリート造などの教育を主としており、木造の構造教育はほとんど皆無である。
そのため、それらの構造設計体系を木造にあてはめているのが実体だと思われる。
それらの構造は、構造体における使用材料の許容応力度などの諸条件が建築基準法により定められており、また計算方法においても、その材料等を使って通常施工されている仕様規定にのっとった構造設計であれば、市販されている一貫構造計算ソフトによって即席めんを作るがごとく計算できるのである。
この基準法による構造計算システムとでも言うべき方法は、日本各地、どのような人であったとしても最低限の安全を確保できるシステムであり、それを守らせることによって多数の建築物の安全を担保してきたことになる。
しかし、その弊害として建築基準法の諸規定は建築の自由度を制限し、新技術の発展を妨げる要因にもなっていることが20世紀から言われてきた。
21世紀になって建築基準法が改正され、様々な面で規制緩和が行われたが、いまだに規制は残っている。
木造の2階建て住宅ではほとんどの場合仕様規定の範囲内で建築され、最低限の建築基準法を守ることに、設計・施工関係者は勢力をつぎ込んでいるのが現状なのである。