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JR西日本等における耐震補強の手抜き工事について



8月13日付けの新聞各社の報道により、「阪神淡路大震災」後の新幹線及び在来線等の耐震補強工事による手抜き工事が見つかったことが報道された。

これは大きな震災が起こった後に考えられることではあるが、「もうこのような大きな地震はしばらく起こらないだろうから、少しぐらい手抜きの工事をしても、鉛直過重に耐えられる性能であれば地震時の性能は少なくてもいいだろう」と思ったり、一度に大量の箇所の工事発注となって、現場チェックする工事監督者の目が届かずに下請け業者が手抜きをすることも当然のことながら考えられるのである。

このような公共交通機関の補強工事が手抜きをしているのであれば、一般の住宅等への耐震補強はもっとひどいことが行われている可能性があると思われる。

耐震補強工事は金額的には新築に比べて安いのだが、木造住宅等で本当にきちんとした耐震補強をしようとすると、手間がかかる割に契約時の請負金額が低いので、利益を出そうと思って前記のようなことを行ってしまうことがある程度予想される。

このような問題を防ぐには、第三者による工事監理を義務付ける必要があると思われる。

そして、一人ひとりが意識を持つことが大切である。

このような行為は、本当に社会のために、また施主のために命がけで「ものづくり」をしている人たちにとって逆行するものであり、低賃金でも自分のやる仕事に誇りを持ってやっている人たちの評価までも下げてしまうことにもなる。

一部の人間のために全体の評価が下がり、そういったことの積み重ねで、一般の人は誰を信用すればいいのか分からなくなってしまうのである。

今回のような業者は実名報道をしても良いのではないかと思われる。

ただ仕事をこなすのではなく、各々が責任と誇りを持って仕事をしてほしいと強く思う。


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 ©Tahara Architect & Associates, 2003