戻る

川上の弱者の切り捨て・川下の強者の救済



現在、我が国の建築基準法が改正され、約3年が経とうとしているが、この法律によって木造建築の可能性が広がった反面、いろんな意味での問題点が隠されていると言える。

まず、木造建築でのラーメン構造の可能性が広がったと言えるが、それは許容応力度設計法及び限界耐力設計法等の詳細な設計法や実験等により、性能を評価した場合においては、ラーメン構造が住宅等でも認められるようになった。

しかし、それは部材として「集成材」のみを対象とし、製材でのラーメン構造を認めてない事である。

このことが極少数企業(集成材メーカーは日本国内で10社程度しかないと思われる)が利益を受け、圧倒的多数の国産材生産者や製材業者が、利益を受けれないようになっている。

今のところ、林野庁等が日本農林規格で定めた構造用材を使用した場合は、良くなるようにがんばっていると思うのだが・・・・・。

現在のように、不況の長引く中で、木造住宅の着工件数は低迷しており、どの企業も苦しい状態であるが、今回の法改正は、山側から見る限りでは「川上の弱者の切り捨て(零細製材業者等の間伐とでも言うべきか?)であり、川下の強者の救済(集成材メーカーの需要を伸ばす間伐とでも言うべきか?)」であると思えて仕方がない。

なぜ建築基準法が集成材のみをラーメン構造部材として認めているか、考えてみた場合、下記の様な事が言える。

@ 材料強度のバラツキがなく、品質が安定している。

A 含水率のバラツキがなく、全体が乾燥している。

B 乾燥による割れや狂い等の、伸び縮みが少ない。

C 断面の寸法や材長の寸法が、設計に応じたものが入手可能である。

以上のことから、設計者や施工者にとっては、理想的な木材?であると思われているが、本当に木材と呼べる素材であるか疑問である。

また、国産のスギやヒノキ等の国産材を使用した集成材が、製造されているが、まだまだ欧米のパイン材等による集成材に比べ、コストの面では太刀打ちできないのが現状である。

スギ等を利用した国産の集成材製造における歩留まりが悪く、それが国産材のコスト高につながり、使われにくくしている原因でもあるが......


戻る

 ©Tahara Architect & Associates, 2003